祖母から母、そして...指輪が繋ぐ家族の絆

記事作成日: 2015-11-022607pv

祖母から母、そして...指輪が繋ぐ家族の絆

24_妄想ストーリーサムネ

プロポーズのタイミングをわからずに…

僕は先月、誕生日を迎えて29歳になりました。付き合ってもう少しで2年の同い年の彼女がいます。同い年といっても僕は一浪しているので、社会人としては彼女が先輩。出会いは共通の友人が企画した飲み会、いわゆる合コンでした。一次会も二次会も対角線に座っていたのでほとんど会話をしませんでした。でも、ずっと彼女のことが気になっていたので幹事をとおして連絡先を聞いてもらい、僕から連絡をしました。ふたりで会ったら実は彼女も僕と話をしてみたいと思っていたことが判明。話してみてますます彼女のことが好きになり、2度目のデートで付き合うことになりました。

気がつけばあと1ヶ月で付き合って2年。このまま楽しく付き合うのもいいけれど、僕も彼女も来年は30歳。彼女の年齢やふたりの未来を考えると、そろそろきちんとけじめをつけなければいけないのだと思うようになりました。でも、どうしたらいいのかタイミングがわからないまま月日が流れてしまいました。

24_妄想ストーリー

男としてのけじめを決行

今日は彼女と会う日。そして今日は付き合ってから2年の記念日。この日を逃したらいつまでも決断つかずにずっと何となく過ごしてしまうと思い、プロポーズをしようと心に決めていました。彼女を車に乗せて向かった先は横浜。横浜は僕が学生時代に過ごした場所で、ほとんど知り尽くしていたので失敗はしないだろうと。

まずは山下公園からマリーンルージュに乗って、船上のフレンチディナーに。彼女は驚いて喜んでくれました。食事を楽しんだ後は、光輝く夜景を眺めにデッキへ。晩夏の夜風は心地よく、緊張する僕の心をほぐしてくれました。そして船をあとにみなとみらいまで歩き、歩き疲れたことを理由に観覧車へ誘導。少しずつ上がっていく間、僕の肩に頭をもたれて夜景に見とれる彼女。一番上にきた瞬間を狙って、「結婚しようか」。彼女は驚いて僕の顔を見て「今、何て言ったの?」「結婚しようって」「はい」。満面の笑みで嬉しいと言って抱きつく彼女。やっと言えた僕は内心、ホッとしていました。

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両親に挨拶。そして思わぬプレゼント

ふたりで結婚までのプランを話し合って決めました。婚約指輪は僕にはよくわからないので一緒に選びに行くとして、まずはそれぞれの両親に挨拶と報告をすることに。彼女の家へ挨拶を済ませ、今度は僕の家へ。当日、僕の両親は初めて会う彼女が嬉しいのか絶えず満面の笑みで、彼女も打ち解けてくれて安心しました。「婚約指輪はまだかしら」と母親。これから一緒に選びに行くと話すと、ちょっと待ってねと席を外した母親が桐箱に入った小さな箱を持って来て、僕たちの前に置きました。

開けるとそこにはダイヤモンドの指輪が。

「それね、お父さんのお母さん、つまりあなたのおばあちゃん、そして私がつけた婚約指輪なの。いつかはあなたのお嫁さんにと思っていたのよ」

「こんな大切な物をいいんですか」

「もちろん。デザインが古いからリフォームしてもいいわよ。いずれあなたたちの子供にも譲れたらいいわね」

「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」

彼女は嬉しそうに指へ通す。僕は彼女の手、母の手を見ました。

次は僕たちを見守るよ、と言っているかのように指輪がキラリと輝いたように見えました。

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yokokawakubo

この記事を書いた人ライター 川窪葉子 Yoko Kawakubo

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